タイトルの意味

なんとなく、ずっと考えて来たことを書き飛ばしてみる。まずは、タイトルの「波平のいない八月」について。

 

波平は大人の象徴だと考えてほしい。

 

磯野波平は54歳だ。てっきり70歳くらいかと思っていたが、まだまだ立派な現役サラリーマンだ。同じくらいの年齢で実在の人物だと、例えば哀川翔とかがいるわけだが、彼はタレントだから特別若く見えるというわけではない。日本のいたるところにいる、あんな感じの、髪型、ファッションのオッサンたちに歳を聞けば大体は50代だ。波平と同い歳とは思えない。ではいったい波平はどこへ消えてしまったのか。

 

波平の若い時はカツオだった。だから普通ならいまのカツオがあと数十年すれば波平になるはずだった。ところが、である。現代はいつになってもカツオは波平にはならない時代なのだ。だから、再生産されない波平は、いつか日本中からいなくなる。つまり大人がいなくなる。それがタイトルの「波平のいない八月」だ。

 

いたるところで、大人になっても変わることのない、増殖したカツオや中島がうろうろろしている時代。それが現代なのだ。