トランプの憂鬱

トランプ関連のニュースが続いてる。


ただ、こんなのもいまのうちだけで、すぐに次のニュースが出れば忘れ去られ、また来年の就任式の時に再発するという、いつもの日常だ。博多の陥没事件は、トランプの当選で霞んでしまったなあ。

 

さて、トランプが勝ったのは、いろいろ分析されてるけど、あの暴言なんだよ。どういう意味か。

 

クリントンが負けたのは、なんかいけすかないババアだと思われてた要因が大きいと思う。だって全米一のセレブファミリーのくせして、「私たちは人種関係なくみんな平等だ」みたいな白々しいこと言って、「お前なんか、一回の講演に3500万円要求するようなヤツじゃん、この偽善者!」って感じ。そこが見透かされたのよ。

 

でも、金持ち具合から言ったらトランプだって負けず劣らずの相当な金持ち。トランプ一家なんて、もう見ただけで、金髪美形がずらっと並ぶセレブファミリー。

 

そこで、トランプはうまいんだな。暴言を吐いて、自分を最低なヤツと演出することで、あの金持ち度を見事にロンダリングしてるの。99%の有権者が持つ金持ちへの潜在的な反発感をうまいこと中和できたんだよね。なかなかの頭脳犯ですな。

クリントンの言ってることは自己啓発である

 大統領選が終わった。マスコミはいろいろと分析をしているが、なぜクリントンが負けたのか。簡単なことである。それは金持ちだからだ。クリントン家は誰が見たって、全米一のセレブファミリー。その上、一回の講演料で3500万円を要求するような人。そんな人が、どんなに貧乏人の味方だって言ったところで、全く説得力なんかない。白々しいだけだ。でもこれってしょうがない。だって実際問題金持ちでないと選挙出れないし、勝ち抜けないからね。

 

 というわけで、クリントンの言ってることって、素晴らしいのだけど、何に近いのかと言うと、キャリアポルノね。アドラーちっくな「やりぬく力」とか「さあ自分に目覚めよう」といった類のビジネス自己啓発書。あのうさんくささに抵抗ない人たちは、クリントンの「信じることをやめないで」なんて言葉でうるうるしちゃうわけです。

 

 自己啓発のうんさくささは看破したいものだ。

タイトルの意味

なんとなく、ずっと考えて来たことを書き飛ばしてみる。まずは、タイトルの「波平のいない八月」について。

 

波平は大人の象徴だと考えてほしい。

 

磯野波平は54歳だ。てっきり70歳くらいかと思っていたが、まだまだ立派な現役サラリーマンだ。同じくらいの年齢で実在の人物だと、例えば哀川翔とかがいるわけだが、彼はタレントだから特別若く見えるというわけではない。日本のいたるところにいる、あんな感じの、髪型、ファッションのオッサンたちに歳を聞けば大体は50代だ。波平と同い歳とは思えない。ではいったい波平はどこへ消えてしまったのか。

 

波平の若い時はカツオだった。だから普通ならいまのカツオがあと数十年すれば波平になるはずだった。ところが、である。現代はいつになってもカツオは波平にはならない時代なのだ。だから、再生産されない波平は、いつか日本中からいなくなる。つまり大人がいなくなる。それがタイトルの「波平のいない八月」だ。

 

いたるところで、大人になっても変わることのない、増殖したカツオや中島がうろうろろしている時代。それが現代なのだ。